地場産の野菜や果物も扱っています。 ナカヤ 鳥澤さんご夫婦 北川びと
鳥澤武人さん・澄子さん
ナカヤ正面
さや豆・みょうが
地のり
こんぶ
伊豆みそ
雑貨

北川で唯一のコンビニエンスストア「ナカヤ」は海沿いの遊歩道のほぼ中央に位置する。
さかな祭りなどのイベントが行われる港の広場が目の前に見える場所だ。
コンビニエンスストアといっても、巷にあふれるチェーン店のそれとは異なり、品揃えは実にユニーク。

 

店内に入ると、まず目を引くのが酒棚。伊豆の地酒や各地から取り寄せた焼酎、人気のワインなどがズラリと並ぶ。
「最近はにごり酒が人気ね。もうすぐ入荷するんだけど、修善寺の『桂川』っていう地酒は冬季限定なのね。寒造りの生酒でほんとに美味しいお酒なの。そのお酒を必ず送ってほしいって、電話で予約を下さるお客さんがいるんですよ。北川に遊びに来て、うちの店で『桂川』を買ってとっても気に入ったんですって。修善寺のお酒だけど、お客さんは『ナカヤで買ったお酒』として覚えてくれるんだなぁと思うとうれしいですよね。」と澄子さん。

ナカヤには、野菜や果物などの生鮮食品も置かれていて、ビニール袋にたっぷり詰まったミョウガが200円、青々とした大きな束の葉ネギが100円など、その新鮮さと安さには驚くばかり。ご主人によれば、なるべく地場産の物を仕入れるようにしているのだそう。

「夏にね、大きな袋に不格好なキュウリをいっぱいにして100円で売ったんです。なにしろ形が不揃いだから市場には出せないでしょう、でも味は美味しいからと思ってね。そしたら地元の人だけじゃなくて、観光客にも大人気で、北川に旅行に来る前に「今年はキュウリある?」なんて電話で確認する人もいるんですよ。やっぱり皆さん、地元の美味しいものが一番ってわかってらっしゃるんですよね。」

なるほど、この店は、北川だけでなく、伊豆の旨いものを紹介するアンテナショップの役割も果たしているのだ。

宿の調理人から「良い昆布」を仕入れてくれないかと頼まれることもあるのだそう。

「宿の人たちからのリクエストにはできる限り応えますよ。共存共栄ができればなぁと思っていますから。たとえばね、この『伊豆みそ』、おみやげに買っていく人が多いんですよ。ちょっと不思議に思いますよね、なんでわざわざ味噌を?って。でもちゃんと理由があるんです。今朝出たお味噌汁がすごく美味しかったけど、味噌の銘柄は何だ?ってお客さんが聞くらしいんです。宿の人は『すぐそこのナカヤで買った味噌ですよ』って教えますでしょ、そうするとここへ来て買っていってくれるというわけなんです。ありがたいことですよね。」
まさに共存共栄。宿で働くひとたちにとっても、宿に泊まるお客にとっても、便利で重宝なお店なのだ。

 

もちろん、普通のコンビニエンスストアに置いてあるような日用品や食品、菓子、タバコなども扱っている。宿に泊まるお客のほとんどが、散歩がてらに立ち寄るのだそうだ。
「水着やTシャツ、うきわ、釣り用品や花火などは一年中置いていますね。泳ぐつもりがなくて水着を持ってこなかったのに、海を見たら入りたくなった!なんて人が必ずいるんです。」

話を聞く間にも、ひっきりなしに自動ドアが開いてはお客さんが入ってくる。浴衣姿のカップルがアイスクリームのボックスをのぞいたり、地元の中学生だろうか、制服姿の女の子がチョコレートを1枚レジに差し出したり・・・。
購買意欲を煽るような大量陳列の商品棚とは無縁の店内、どこかのんきで懐かしい「お店屋さん」のイメージが蘇ってくる。「うちはコンビニエンスストアというより『よろずや』なんです」と笑うご主人、北川の毎日の暮らしを支える「北川びと」である

電話 0557-23-0075